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  • No.13 二人のジョー・ウィルソン〜ヤジを飛ばすバカと、タイムズに寄稿するインテリ

    October 5th, 2009 by Kay Ohara

    自分の国の大統領が嘘をついていると思ったとき、政治に関わる者としてどういう態度を取るべきか? 2つの例を挙げてみる。

    一人目のジョー・ウィルソン。サウスカロライナの上院議員。そう、サウスカロライナと言えば、奥さんにウソをついてアルゼンチンの愛人に会いにいったおバカ州知事マーク・サンフォードと同じ出身地。自分のことを棚に上げて人のあら探しをするのがこの州の人の特徴なのか?

    典型的な南部の州、ということは、白人がのさばってて、南北戦争に負けたことをいまだに恨んでて、メガトン級のデブも多く、ガチガチの保守的な考え方の人ばっかりで、ダーウィンの進化論も理解できず、趣味と言えば週末の大学アメフト観戦、お寿司を食べたこともなければ、外国に行ったこともない、という感じでしょうかね?

    (こういうことを書くと、ステレオタイプはいけないとか、そんな人ばっかりじゃない、という反論が来たりするんだけど、でも、だいたいのところホントでしょ?)

    問題行動があったのは9月9日。なかなか進まない国民保険制度改革案に業を煮やしたオバマ大統領が上下院の議員全員を前に演説を行った。
    保険会社と結託した共和党保守派があまりにもひどいデマをでっち上げるものだから、おバカな国民の中には、政府がdeath panelというグループが病人を治療するかどうか決めるようになるだとか(今はそれを保険会社がやっているんだけど)、高齢者は抹殺されるとか、税金でガンガン堕胎手術をやるとか、ばっかばかしいことを心の底から信じて制度改革に反対する人がいる。

    それまで普通の大人ならわかるだろうぐらいのスピーチをしていたオバマが、今回の演説でとうとう小学生でも諭すように話し始め、「不法滞在者に保険が下りるようなことにはならない」と明言したところ、こともあろうに演説の途中で「嘘つき!」とヤジを飛ばしたけしからん議員がジョー・ウィルソンなのである。

    この上下議員を集めた場での大統領演説は一般教書演説にも匹敵する場で、たとえ野党の議員であっても賛成できる箇所では拍手することがエチケットとされるのに、エリック・カンター下院幹事長なんかは、ツイッターにメッセージでも送っていたのか、スピーチも聞かずにブラックベリーをいじっていたし、このジョー・ウィルソンはお下品にもヤジを飛ばすという暴挙に出た。
    オバマ大統領の後ろで聞いていたナンシー・ペロシ上院幹事長は隣に座っていたジョー・バイデン副大統領に何か囁いていたが、きっと「信じらんな~い、今の馬鹿、誰?」とでも言っていたに違いない。

    後でコイツはいったんは謝り、譴責決議まで受けたものの、その後は太々しい態度を取り続けている。しかも、笑っちゃうのは、それが全然ウソでもなんでもないことだ。保険制度改革案には「違法移民には保険をかけない」と明記されている。法案も読んどらんのか、このバカは。

    ウソじゃないのに、ウソだと決めつけて野次を飛ばす。まぁ、これが今の共和党議員のレベルです。

    ちなみに、このバカ議員が今までに貢献した法案と言ったら、州政府の建物に奴隷制度を死守しようとした南部軍の旗を立てようという時代錯誤的なもののみ。しかも、このジョー・ウィルソン、ジョーという名前でさえない。本名はアディソンというファーストネームだったりする。
    これがどういう意味を持つのかというと、南部ではよく、父方の親戚の名字を子供のファーストネームにするという変わった風習があるのですな。

    自宅で殺された美少女コンテスト娘のジョンベネちゃんを覚えてる? ジョンベネちゃん、って変わった名前だと思ったことありません?
    あれは父親の名前がジョン・ベネットだからなんですね。こういう変なことをするんです、南部って。

    本名のアディソン・ウィルソンだと、なんか語呂が悪いし、いかにも南部!って感じだから「ジョー」という名前を名乗っているのでしょうな。


    PHOTO : Wikipedia


    そしてもう一人のジョー・ウィルソン。こちらはれっきとしたジョーで、フルネームはジョセフ・チャールズ・ウィルソン4世。父ブッシュとクリントン政権の元でアフリカ諸国や中東を転々としたベテラン外交官。奥さんは身分を偽り、CIAのために働いてたヴァレリー・プレームと言えば、わかる人もいるのでは?

    9-11、アルカイダによるテロ事件の後、全然関係のないイラクと戦争をしたがっていたバカ息子ブッシュは、戦争開始の理由として、イラクが原爆を作るためにアフリカのニジェールからイエローケーキと呼ばれる酸化ウランを買おうとしている証拠を掴んだ、と国連でコリン・パウエル国務長官に発言させようとしていた。当時、これが本当かどうかを調べようとしてた奥さんに頼まれて、ジョー・ウィルソンはありとあらゆる自分のコネを駆使し、情報の真偽を確かめようとしたが、そんな事実は確認できなかったのに、ブッシュ政権はイラク戦争を始めてしまった。

    これに対し、ジョー・ウィルソンは「私がアフリカで見つけられなかったこと」というコラムをNYタイムズに寄稿した。

    ブッシュ政権はこれに対する報復措置として、彼の奥さんがCIAの人間だということをマスコミに漏らし、公表させてしまった。当然、ヴァレリー・プレームは秘密工作員として働くことはできなくなってしまった。これが二人目のジョー・ウィルソンのお話。

    外交官としての自分の経験と知識を踏みにじった政権が行った偽善を新聞のコラムで吐露したジョー・ウィルソンと、大統領演説の途中でヤジを飛ばしたジョー・ウィルソン。雲泥の差とはこのことなり。

    ヤジをとばしたところ


    外交官ジョー・ウィルソンの本
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