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  • No.6 強い意志とともに ~ ニューヨークの職場の女性たち~

    February 1st, 2010 by Sally

    真夜中、午前2時。私の同僚のクリスティーナは、この時間に出社する。

    私が昨年就職した会社は、証券取引のブローカーで、ニューヨーク市場だけでなく、ヨーロッパやアジア市場の証券も扱う。


    アメリカ人の同僚が無理やり書いた「東京」の文字。
    明朝体を真似したのか、「京」の字が微妙におかしい!?


    ヨーロッパ担当のクリスティーナは、現地市場に合わせた午前2時から朝9時までが勤務時間。夜12時過ぎに自宅のあるロングアイランドから、車、電車、地下鉄を乗り継いでオフィスにやってくる。

    しかもクリスティーナは去年の夏に二人目の子どもを産んだばかり。妊娠中も産後も夜間勤務をずっと続けている。

    「上の子どももいるのに、夜勤って大変じゃない?」と、私が聞くと、

    「それがさ、だんなが日勤だから子どもの世話を交替でできてちょうどいいのよ。ベビーシッターは朝の数時間つける程度で済んでいるの。」とクリスティーナ。

    なるほど。確かにそれは都合がいい。聞けば、夕食時は必ず家族全員揃うから、団欒する時間もちゃんとあるという。

    「ミルクはどうしているの?」

    「母乳よ。これもね、夜勤だとフロアに人が少ないから、空いている会議室でお乳をしぼることができちゃうわけ。あとは冷蔵庫に入れて持ってかえって、だんなが夜にそれを子どもに飲ませるの。」

    事実、朝会社に行って冷蔵庫を開けると、クリスティーナのお乳を入れたバッグが、バーンと入っている。(誰も気にしない)

    日勤の仕事を選ぼうと思えば選べるのだろうが、クリスティーナはこのまま夜勤で構わないという。
    保育園の行事にも行けるし、だんなと育児をフィフティー・フィフティーでやっているという連帯感もあるから。

    「夜勤」と聞いただけで、うわっ、大変!と思いがちだが、ポジティブに利用する手を知って、ちょっと目からウロコ。

     

    会計のマネージャーを務めるジュリーもクリスティーナと1ヶ月違いで出産したばかり。CPA(公認会計士)の資格を持つ彼女は、次はMBA(経営学修士)取得だと、妊娠中の頃から仕事の後に大学院に通っていた。

    出産直後に迎えた期末試験もきっちりこなし、6週の出産休暇を終えて彼女が始めたのは、「週末育児」。

    それは、平日は母親に子どもを預け、自分はフルタイム+大学院のクラスをこなし、金曜の夜に子どもを迎えに行き週末だけ子どもと一緒に過ごすというもの。

    だんなは何をしているかというと、フルタイムの仕事のあと、ジュリーに変わって料理や洗濯などの家事をこなしているのだ。

    「だんなは最初、家事を請け負うことはともかく、子どもを平日預けることに反対だったの。でも、私がMBAを取って、この先食いっぱぐれがないように備えておくのだって、子どものため。それを話し合って理解してもらったの。」と、ジュリー。

    母は強し。日中へヴィーなマネージャー業務をやっつけ、さらに大学院の授業を受け、リサーチやペーパーなどの課題をこなす日々。

    「たぶん、だんなのためにはここまでしないけど、子どものためと思うとガッツが出るんだ。」

    この本音、女性の間だけのオフレコだ。


    窓に映った休憩室。向かいのビルのライトと重なる。
    ジュリーは今頃クラスルームで授業を聞いている。


     

    アンナは、20歳のときに、グリーンカードに当たって旧ソ連の一国からアメリカにやってきた。

    「自由な国で好きなように生きられる!」
    そんな希望が若いアンナを興奮させたが、実際彼女がアメリカに着いたときの所持金はたったの300ドル(約3万円)。

    でも彼女は持ち前のガッツで、その後を生き抜いた。アルバイトをしまくって生計を立て、英語を学び、大学に入った。

    大学を出て今の会社に入り、ファイナンシャル・アナリストとして初めてプロフェッショナルなキャリアを積み始めたアンナ、アグレッシブな仕事ぶりはそれまでの苦労を物語っている。

    ある日、同僚のひとりが、とある女性保護団体の活動支援のために職場の人たちに寄付を呼びかけたことがあった。

    それは、虐待を受けて精神的にダメージを追った女性や貧困で苦しむ女性たちが仕事に就けるよう支援するための寄付で、高額である必要はなく、みんな1、2ドルを寄付していた。

    でもアンナは寄付をするどころか怒り出してしまった。

    「なんでそういう人たちに寄付をしなきゃいけないの? 彼女たちは自分の力で苦境を乗り越えるべきよ。私は本当にお金がなかったけど、死にもの狂いで頑張ってここまでやってきたわ!」

    異国からやってきたという意味では、彼女と私は状況が同じだ。けれど、彼女は私の知らない苦労をしている。
    私は学生の間収入はなかったけれど、それは貯蓄のあった私が自ら選択したことだし、すぐ明日食えないというわけではなかったから。

    寄付をするかしないかなんてもちろん個人の選択だけど、私はアンナの発言を聞いたとき、ちょっとショックを受けた。自分の生活をぬるく感じたのだ。

    アンナは相手によって態度を変えることなく、いつも自分の思っていることをはっきりという。
    相手が強く言ってくればさらに強い調子で言い返す。

    それに比べて、思っていても口に出せなかったり、反論することを躊躇してしまう私。相手に合わせようとする文化に育ったせいもあるが、それで自分の仕事が遅れることがあるのも事実。
    だから、ときどきアンナが羨ましく思える。

    アグレッシブでなければここまで来れなかったアンナ。
    間違いなくこのエネルギッシュなニューヨークを作り上げている一人だ。


    ランチタイムに外へ出ると、たくさんの人種が同じエリアで働いていることを実感する。


     

    Sallyの考察

    私の職場には、この他にも個性ある女性たちがいるが、日本のいわゆる「OLさん」にありがちな傾向と特に違うな、と思うのは、次の点。

    • 自分の意見や希望をクリアに持っている。そしてそれをはっきり言え、また実行に移す。
    • 男性社員の目を気にしない、媚びない、愛嬌を振りまいたりしない。
    • 女性同士は仲良しで助け合うが、特定の人と徒党を組んだりしない。

    いや、アメリカにだって、媚を売る女性やグループでいがみ合う女性たちがいないわけではない。
    また、日本の女性が愛嬌をふりまくのは、本人がそうしたいわけでなく、「そうすべき」という周囲の期待があるからともいえる。

    ただ、私はたまたま上に挙げたような環境にいるので、楽であるばかりか、いつもポジティブなエネルギーをもらっている。

    「周りからどう思われるか」より「自分が何をしたいか」、それを逐一問われるニューヨーク。「女だから」って前提でものを考えることは、ほとんどなくなってきている。
    必要なのは、自分から湧き上がる強い意志なのだ。

    Sally, ブログも書いています! NY日記COLORS http://nycolors.exblog.jp

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