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  • No.58 溜め息をつかせるレオナルド・ディカプリオ

    February 1st, 2010 by Yuka Azuma

    レオナルド・ディカプリオはインテリだ。
    彼に会う度、私は溜め息をつく。

    会えば普通の人で、高尚な装いをプンプン漂わせるタイプでもなく、私のレベルに合わせて丁寧に喋ってくれる人だから、彼の話を聞いているときは「なるほど」と、すんなり頷ける。

    でも、いざ彼のインタビューをテープ起こしで丁寧に翻訳しようとすると、私の場合、必ず辞書が必要になる。
    彼の言葉選びは、あまりに知的なのだ。
    どのセンテンスも的確で、聞き直せば聞き直すほど、その内容に「レオはやっぱり頭が良い」と改めて感心してしまう。


    2010年1月17日、ゴールデングローブ授賞式でマーティン・スコセッシ監督の
    セシル・B・デミル賞授与に、ロバート・デニーロと共にプレゼンターを務めた
    レオナルド・ディカプリオ。
    (C) HFPA “Golden Globe Awards”


    そして彼が有名人であることで、彼が世界に与える影響力も大きくなることに感謝する。
    “エコ・セレブ”なんていう一言では扱えない信念が、彼にはある。
    地球温暖化や汚染といった環境問題は、彼が真剣に取り組んでいる課題だ。そんな彼の世界規模の視野や地球への思いやりに、私はインスピレーションを受けるのだ。

    彼のウェブサイトにしても、それは映画俳優としての彼を紹介するだけのものではない。地球とそこに生存する生物をケアする人たちにとって情報満載のエコサイトになっている。

    「ビニール袋のゴミをなくそう。買い物にはエコバッグを使って。
    さらには、コーヒー屋にも自前コップを持参しようではないか」
    と、呼びかける彼。

    そして、そのサイトで彼が推薦する映画は、アマゾンのジャングルを汚染してエクアドルの住民を苦しめるアメリカの巨大な石油会社を暴露した『Crude』や、 日本で行われている残虐なイルカ追い込み猟が映し出された『the Cove』などのドキュメンタリーだ。

    その和歌山県太地町が舞台となるイルカのアメリカ映画を今晩、観る予定だとレオに伝えると、彼は「すごく良いドキュメンタリーだよ」と、さらりと言って沈黙した。

    以前、彼が「エコ問題を大衆に認識してもらうために、僕ができる、僕の知っている方法がドキュメンタリー製作なんだ」と、語っていたのを思い出した。

    自分でも、地球温暖化の危機を訴えるドキュメンタリー映画『the 11th Hour』などをプロデュースしてきたレオだ。
    そのときのインタビューでは、私たち日本の消費者に向けて、レオは熱くメッセージを放ってくれた。

    「環境に優しいものを買うことによって、僕たちが住む地球に大きなインパクトを与えることができる。
    僕たち消費者がお金を使う度、それはその企業がやっていることを僕たちが受諾しているという行為につながる。
    だから僕自身はハイブリッドカーを選ぶし、電球1つにしても省エネの製品を買う。そうすることによって、環境に優しい商品の市場が生まれていくのだから。
    一日の終わりには、市場の売り上げがものを言うのだからね 」

    ところが、そのあと、違う作品で取材したときのことだ。

    彼自身はどんなエコな生活を実行しているのか、と聞かれて、レオはその質問に答えることを躊躇した。
    彼はもちろんビニールなどの生物分解されないゴミを出さないように努め、 清浄剤1つにしても地球を汚さないものを使うことを意識している。家にはソラーパネルを取り付けているし、運転する車もハイブリッドだ。

    でも、それをとくとくと語ることはしなかった。

    「僕がどんな風に生活しているかを議論にすることは…人々を差別的なグループに隔離する結果を及ぼすように感じるんだ。
    それを話すことは、エコ問題にアプローチする正しいやり方ではないように思うんだよ」

    そして、彼はそういう話題が結果的に人々への審査へとシフトしてしまう危険さを説明した。
    「エコ問題に取り組む最も重要なポイントは、カルチャー的な意識なのだから」と、延々と解説を続ける彼の姿は、いまも私の目に焼き付いている。

    そしてもちろん私はインタビューが終わったあとは尚更、辞書を片手に唸り続けるのだ。
    「ああ、なるほど!」と、あの幾つになっても幼く見えるベビーフェイスの下に、どれほどの頭脳が埋まっているのかと感心しながら。

    マーティン・スコセッシ監督の新作映画『シャッターアイランド』の取材で、久しぶりにレオに再会した。
    ブルーのシャツに紺のブレザーにスニーカー姿の彼は、小柄で可愛らしい青年のように見えた。

    私が取材用のホテル部屋に入ったとき、彼はある男性と小声で立ち話をしていた。
    クリーンエネルギーの法律制定を、ツイッターやフェイスブックを駆使して政治家にアプローチしようと話していた。
    そして「上院議員が耳を傾けてくれることを望もう」と、話をしめくくると、レオは私のほうに向かって歩いてきた。

    朝から取材づくめなのに、彼はリラックスした様子で、インタビューの間中、あの相変わらずの彼のじっと見入るような真っすぐな視線で私を衝いた。
    「日本のテレビ視聴者に日本語で挨拶してください」と、無理なお願いをしても、彼は嫌な顔も見せず一生懸命やってくれた。

    ハイチ大地震の救済のためにも、百万ドル(約9000万円)を寄付したレオ。

    お金持ちで、地球規模の視野があって、知的で、実力派で、独身でハンサム。
    こんな人を目の前にすれば、目がハート形になり、口からハーと溜め息が出てしまうのは仕方がない。

    Copyright: 2010 Yuka Azuma /あずまゆか

    レオナルド・ディカプリオのエコサイト
    http://www.leonardodicaprio.org/



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