No.8 アメリカ最古のワイナリー:ブラザーフッド・ワイナリー
April 5th, 2010 by Sally
天気のいい3月の土曜日。
さらなる開放感を求めて郊外に出かけたいと思っていた私に、友人からのタイムリーな誘いが。
「アップステイト(ニューヨーク市内から北へ行ったエリア)にアメリカ最古のワイナリーがあるって知ってた?行ってみない?」
アップステイトとロングアイランドにはたくさんのワイナリーがあることは知っていたが、「アメリカ最古」があるとは知らなかった!もちろん、二つ返事で行くことに。
なんと170年前、1839年に始まったというそのワイナリーは、市内から北へ車で1~1.5時間のワシントンビルという街にある。
北に向かう道は自然が多くて目的地に行くまでのドライブも楽しい。私が特に好きなのは、昨秋私が訪れたスリーピー・ホロウからハドソン川を渡るTappan Zee Bridge(タッパン・ジー・ブリッジ)。
なぜ好きかというと、ブロンクス側から行く場合、橋はまず川から高く離れた位置を走り、途中でぐぐっと水面近くまで下降する作りになっている。写真ではちょっとわかりづらいけれど、それはまるでジェットコースターで川の中に突っ込んでいくようなスリルがあるのだ。

さて、この橋のあと、30分ほど高速を走って、ショッピング天国「ウッドベリー・コモン・アウトレット」のある出口で降りて、ローカルの道を10~15分ほど北西に行けばワイナリーに到着!
表からぶどう畑は見えないもの、石造りの建物がいくつかあり、構内は観光客用にきちっと整備されている。
まずは受付に行ってみると、170年前の創立当時から残るワイン貯蔵庫がミュージアムとして公開されているとのこと、そのツアーが約1時間おきにあるので申込んだ。

ツアーまで待ち時間があったので、さっそくワインテイスティングをしようとしたら、ツアー参加者は、先にテイスティングはできないとのこと。それはワイン貯蔵庫の階段が古くて、足元に注意しなければならないから。
なるほど、千鳥足でのツアーは危険なわけだ。
でもまあ、周りの古い建物やワインショップを楽しんでいるうちにもう集合時間。さあ、地下の貯蔵庫へ!
厳密に言うと、現在も操業しているワイナリーの中で最古、とのことだが、170年前といったら日本なら時は天保(江戸時代)。充分古い!最初に入った部屋は、昔のぶどうのプレス機などが置いてあって、映画に出てくる中世の拷問部屋のようだった…。


出来上がったワインを保存していた部屋。壁際にぎっしり、何千本もボトルが置かれていた。昔のワインたちはここで出荷を待ったわけだ。

ちなみに、ここのワイナリーは、古くからサクラメント・ワイン(キリスト教の聖餐用のワイン)を教会に卸していたため、あの禁酒法時代でもワインの生産を許されていたそうだ。敷地内には、その教会のひとつが復元されて残っている。
地下貯蔵庫の目玉は、なんといってもこれ、一番奥に設けられたスペシャルなワインセラー。ここには歴代オーナーたちのお気に入りのワインがキープされている。積もった埃が長~い年月を物語っている。


その後、別なタイプの樽をいくつか見て終了。地下から出たら、お待ちかねのテイスティング!
ガイドさんは今度はソムリエとなり、私たちに順番に注いで行く。まずはツアーグループで一緒だったみんなとシャンペンで乾杯!

1本開けるごとにガイドさんはそのワインの特徴や製法を説明してくれる。私たちは、用意されたクラッカーやチョコレートをつまみながらワインを味わい、ワイナリー側から頼まれた「レート表」に自分の評価・感想を簡単に書き込んでいく。
しかし、このテイスティングのお得なこと!なんと次のとおり、8種類も出てきたのだ。
- シャンペン
- 白:シャルドネ
- 白:リースリング
- 赤:ピノ
- 赤:メルロー
- ポートワイン
- デザートワイン
- ミード(はちみつ酒)
ちなみに、1回(1種類)の量はこれくらい。テイスティングにしてはまあまあ量がある。

もちろん全部飲まなくても、用意されたピッチャーに空けちゃっていいのだが、結構早いペースで次のラウンドになるので、量を抑えてもすぐに酔いがやってくる。(ツアー前にテイスティングをさせないのは正解だ)
結果して20分くらいの間でこの8種類を飲んだだろうか。
もちろん注ぐのを待ってくれるが、日本人としてはグループテイスティング、つまり団体行動を乱すことは「悪いな」って思っちゃうんだよね。私は一生懸命ついていった!
しかし、驚きなのは、こんなに飲んでテイスティングの料金がたったの5ドルだということ。これまで行ったワイナリーでは、3種類で8~12ドル、というのが多かった。
しかも、上記の8種類以外でも、試したいものがあれば追加料金なしで出してくれる。
私はさらに、クリーム・シェリーとドライ・リースリングを試飲したので、結果10種類。でも5ドル!
ついでに、テイスティングに使ったワイングラスは持ち帰りできる。
実は正直なところ、どれもそれなりに美味しいけれど、とびきり美味しいというわけではなかった。
そもそもここで産しているワインのほとんどは8~20ドルというお手ごろ価格。だから味も万人向け、という感じ。
それは、先にサクラメント・ワインの話を挙げたように、ここがもともとは、希望あふれる移民たちが新しい土地で組織した共同体の元に発展したワイナリーだからかもしれない。(兄弟、修道士、同士、などを意味する「ブラザーフッド」というワイナリーの名前は、その共同体の名前”The Brotherhood of New Life” から来ているそうだ)

また、1921年にワイナリーを引継いだ二代目オーナーは、そこが当時ニューヨーク市内からもっとも近いワイナリーであることに目をつけ、バイヤーにワイナリーを訪れてもらうという企画を打ち出した。ワインツーリズムの先駆けである。
庶民の私たちが今、ワインとワイナリーを楽しむという「娯楽」に手が届いているのは、このワイナリーのおかげかも?そう思うと、非常にありがたい。
ブラザーフッド・ワイナリーでは、ただいま構内にレストランを準備中。
本格フレンチでありながら、ウェイターはおかず、客がテイスティングのあと、気に入ったワインをショップで買ってきて、あとはレストランや外のデッキで、食事をつまみながら好きなだけ飲む、というスタイルだそうだ。なんと気軽な。
それから、子連れでここを訪れた方の話によると、収穫の時期にブドウの足踏みをやらせてもらって、子どもたちが大喜びだったとのこと。それは大人の私でもやってみたい!
確かに秋ならさまざまなアトラクションが用意されていることだろう。
歴史は古いけれど、あくまでも庶民派、だからこそ楽しめるこのワイナリー。車で行けば、壮大なハドソン川と橋は楽しめるし、ウッドベリー・コモンでお買い物も出来ちゃうし、Yonkersの大型スーパーマーケットStew Leonard’sにも寄れちゃう。(このお店は非常に楽しい。別にブログで書いたのでよろしければこちらもどうぞ。『楽しいスーパーマーケット「Stew Leonard’s」』)
それらをひっくるめて、これはニューヨーク市内からの、私のお勧め日帰りツアーのひとつだ。
日本からの旅行者でも、1日くらいマンハッタンを離れてレンタカーで田舎道を走るのもいいのでは?
最後にもうひとつ、テイスティングで得た情報を。
ニューヨーク産の赤ワインは2007年が当たり年だとのこと。この日出してもらった2007年のピノ・ノワールは確かに美味しかった!リカーショップで「ニューヨーク産・赤・2007年」を見つけたら飲むべし!
ブラザーフッド・ワイナリー
http://www.brotherhoodwinery.net/
100 Brotherhood Plaza Drive
Washingtonville, NY 10992
公共の交通機関でいく場合は、ペンステーションからNJトランジット&Taxiで。片道約1時間半。
ワイン好きならBlissさんの過去記事『NY産のスパークリングワインはいかが?』もどうぞ。
ロングアイランドのあるワイナリーの紹介ですが、スパークリングワイン専門というのが興味深い!
Sally, ブログも書いています!
NY日記COLORS http://nycolors.exblog.jp














