No.20 アリゾナのバカ白人勢力が人種差別を合法化
May 5th, 2010 by Kay Ohara
周りを海に囲まれた日本では想像しにくいが、地続きの国境があるというのはどういう感じなのだろう?
あいにくと、車や電車で国境を超えたことはあるが、アメリカとカナダとか、ヨーロッパ圏内でしか経験がないので「違う国に来た」という気があまりしなかった。
目に見える線が引いてあるわけではない、だけど一線を超えると、そこに住んでいる人たちの言語も文化も、そして人種までもが違う。さらにその2カ国の間に経済格差があったとしたら?
アメリカとメキシコの国境は延々と3千キロ以上続いており、テキサス、ニューメキシコ、アリゾナ、カリフォルニアの4州が隣接している。
エルパソやサンディエゴといった町の近くでは警備も徹底されているが、人目の届かない地点で年間約50万人もの人々が違法に国境を超えているとされている。
リーマンショック以来、失業率が高まっているとはいえ、アメリカ人にしてみれば3Kでとてもやりたくないような仕事でも、メキシコの労働者にとっては命をかけてでもありつきたい食い扶持である。
さらにマリファナやコカインを運び入れることができれば、とてつもないカネを手にすることができる。
そこには血生臭い闘争がつきもので、ドラッグをめぐるギャングの争いだの、高額な借金をして違法越境を手助けする「コヨーテ」の取り立てや誘拐だの、荒っぽい事件も多く、国境の町の人々が不安に思うのは無理もない。
だが、今回アリゾナ州で可決された移民法案は、プロファイリングと呼ばれる人種差別を合法化するだけで、問題解決にはならない。
州議会の上下院で可決され、ジャン・ブルーワー州知事が署名して立法されたこの法案では、(州政府の管轄下にある)警察が、「見た目」が怪しい者に対して身分証明書を提示することを求めることを求める、という一見なんの問題もなさそうな決まりだ。
日本では既に外国人は、滞在許可を示す身分証明書を常時保持していることを義務づけられている。
だが、見た目が怪しい、というのは、どう考えても「南米系と思われる」ことを指しており、何をもってして怪しいかどうか見極めるのか?と記者に問われ、ブルーワー州知事が「靴とか、服装とか、警察ならわかるはず」と誤魔化したことで失笑を買ったように、これはレイシャル・プロファイリングというれっきとした差別にあたる。
そして、もっと大きな流れで見れば、これもまたオバマ大統領という「異国人」に国を乗っ取られつつあると感じるバカな白人の自己防衛の一環ということもできる。

PHOTO : Tobias
今年は10年に一度の国勢調査が行われる年だが、アメリカの人口構成はどんどん変わりつつあり、白人がマイノリティー化するのは避けられない。
この法律に対する反対運動はアリゾナ州だけでなく、全国に広がり、メーデーでもある5月1日には各都市で大規模なデモが行われた。いずれにせよ、最高裁判所まで争うことになれば、憲法違反にあたるであろうことも明白だ。
移民問題は、アメリカに住むすべての日本人にとっても他人事ではない。
たまたまアリゾナでは「ブラウン・ピープル」としてメキシコ人が槍玉に上がっているが、おバカな白人にとってみれば、日本人だってどんなに合法的に滞在し、税金を払い、英語をしゃべり、アメリカに貢献していても「イエロー・ピープル」なのだから。
そして移民問題は、日本にとっても他人事ではなくなってきている。
今回のアリゾナの騒ぎを他山の石とされたい。
全米各地でアリゾナ州に対する経済的措置が検討されている。もし、賛同する気があるのであれば、機内誌のSkyMallというカタログで買い物しない(本社がアリゾナ)、グランドキャニオンに旅行しない、というのはどうだろう。













