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  • No.8 逃げて行った二匹目のドジョウ「ヤング・フランケンシュタイン」

    January 7th, 2008 by Lil Akim

    ブロードウェイじゃ二匹目のドジョウは釣りにくい。

    この金科玉条を教えてくれるのが、11月に鳴り物入りでオープンした「メル・ブルックスの新作ミュージカル、ヤング・フランケンシュタイン」だ。

    御丁寧且つお下品にも自分の名前をタイトルに入れてくれとるので既にお気づきだろうが、このミュージカルでドジョウを狙うのは前作「プロデューサーズ」でブロードウェイの記録を塗り替える空前の大ヒットを飛ばしたメル・ブルックス大先生。

    その大先生が自らの最高傑作である1974年のコメディ映画「ヤング・フランケンシュタイン」をミュージカルにして、ブロードウェイに再登場あそばした。

    え? 「ヤング・フランケンシュタイン」なんて映画は知らない?

    ふとどきな奴め。
    「ヤング・フランケンシュタイン」と言えば、1930年代の白黒ホラー映画を徹底的にパロディにしつつオマージュを捧げた、おバカギャグ満載の泣く子も笑うゴシックホラーコメディではないか!
    いや、マジで名作なんだから、あまり大きな声で「知らない」と言うと恥かくぞ。

    で、その名作を1600万ドルもの予算でもって豪華なセットと衣装、派手な照明、スターキャストを投入して作ったのがこのいささか長いタイトルのミュージカル。

    しかし、世界中に五万と居る「ヤング・フランケンシュタイン」ファンの期待を一身に背負ったこの新作、非常に残念なことに実は元映画ほどには面白くない。前作「プロデューサーズ」と比べるのも可愛そうなくらい面白くないもんだから、なんでこいつをわざわざミュージカルにしたのか考え込んでしまうほどだ。

    いや、正確を記して言うと、一応そこそこには面白い。
    たぶん、全役代役バージョンの吉本新喜劇くらいには面白い。

    しかも吉本とは違ってキャストは歌って踊ってくれるし、舞台のセットは立派且つド派手だし、轟く雷に稲妻といった視覚音響効果もたっぷりある。元映画でおなじみのギャグもずらりと登場するし、この手の人気コメディ映画のミュージカル化で観られる特殊現象、つまり、お約束ギャグの発射1秒前に観客が笑い始めるという現象も健在だ。

    しかし、残念なことに面白さはやはりそこそこ止まり。

    だって、映画を観ている時には同じギャグで何度でも爆笑できたこのワタスともあろうものが、お気に入りのギャグが舞台に登場してもちっとも笑えないのだ。それどころか「なんで今までこんなギャグに腹をかかえて笑ってたんだ?」と自分のユーモアセンスを疑ったほど。

    い、いったいワタスに何が起こったというのだ?

    いや。実のところワタスには何も起こっていない。ギャグのほうに何かが起こっていたのである。

    ま、そいつを説明する前にもっぺんとっくりと復習していただきたいのが、映画「ヤング・フランケンシュタイン」の面白さの所以。

    そう、ずばりパロディだ。

    この映画は1930年代ホラー映画、特に31年の「フランケンシュタイン」と35年の「フランケンシュタインの花嫁」をパロディにする為にメル・ブルックスと睫毛ぱっちりのジーン・ワイルダーが作った映画である。しかも、奇跡的に残っていた「フランケンシュタイン」映画のセットをそのまま使っているところもミソ。

    パロディは元ネタの形式を借りて表現するところに醍醐味がある。
    だろ?

    30年代当時の映画表現方法とフランケンシュタイン映画を徹底的にパロってゴスなホラー映画の体裁をとりつつ、おバカギャグを連発しているからこそ、映画「ヤング・フランケンシュタイン」は抜群に面白いのである。

    さあ、そこんとこがよーくわかったところで、映画のパロディ映画を舞台ミュージカルにしてしまうとどうなるかちょっくら想像してくれたまえ。

    <この記事には続きがあります>

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