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  • No.3 ミシェル・オバマ夫人に見るNYファッション界の勢力図

    February 2nd, 2009 by Eri Kurobe

    ご存じオバマ大統領の就任式で、大きなニュースになったのが、ミシェル・オバマ夫人が着たドレス。

    ミシェル夫人が就任式で着たのは、イザベル・トレドのコートとシフトドレスのアンサンブル。
    そして舞踏会で着たのが、ジェイソン・ウーによるドレス。
    つけていたダイアモンドのジュエリーは、ロリー・ロドキンのもの。

    どちらもほとんどのアメリカ人さえ知らないブランド。
    若干26歳のジェイソン・ウーなんて前回のコレクションまでは業界人しか知らなかった存在だったのだ。

    それがなんと就任式翌日には、ジェイソン・ウーのサイトが400万アクセスを記録したらしいよ。
    すげー! 
    ミシェルたん効果! 何億円ぶんの広告価値あり?

    ジェイソン・ウー 09春夏コレクション ランウェイより
    ジェイソン・ウー 09春夏コレクション ランウェイより


    そんなラッキーボーイのジェイソンは台湾で生まれ、9歳のときにバンクーバーに移住、高校生活の後半はパリへ留学したという国際的なバックグランドの持ち主。

    NYではパーソンズを卒業してコレクター向けのドールの服をデザインしていたという経歴があり、ロマンチックな世界観を表現している。

    おかげで女優のアンバー・バレッタやレイトン・ミースター、ソーシャライトのオリビエ・シャンテカイユなどがご愛用とか。

    では、なんでジェイソンが幸運をつかめたか?
    じつは彼をミシェル夫人に紹介したのが、シカゴでセレクトショップを経営しているイクラム・ゴールドマンなんですね。

    彼女のブティック「イクラム」がミシェル夫人のお気に入りらしい。
    この店はかなり品揃えが鋭いのだ!
    タクーン、ナルシソ・ロドリゲス、ロダルテといったツウなブランドを揃えている。

    イザベル・トレドの服をミシェル夫人に紹介したのも、もちろんイクラムさん。
    つまりファッション参謀みたいなものだな。

    ミシェル夫人がわざとラルフ・ローレンやダナ・キャランといったビッグネームを選ばず、「まだみんなが着ていない新しいブランド」を選ぶファッショニスタだってことはたしかのよう。

    ジェイソン・ウー 09春夏コレクション ランウェイより
    ジェイソン・ウー 09春夏コレクション ランウェイより


    そのせいか「オバマ夫人はマイノリティとしてのプライドをもって、わざとマイノリティのデザイナーを選んでいる」と論評している記事もあるけれど、まあ、それはないだろうと思うよ。

    だって今のイケてるアメリカン・デザイナーを選ぼうとしたら、必然的にマイノリティになっちゃうんだから。

    そもそもファッション界にはワスプ(プロテスタントの白人でアメリカ政財界の中枢層)のデザイナーなんてほとんどいるわけもなく、以前はユダヤ系かイタリア系が多かったところ。

    それが今ではアジアンが大きな勢力になっているのだよ。
    ざっと見ただけでも、NYファッション界ではこれだけ新興のアジア系デザイナーたちが活躍しているのです。

    • ジェイソン・ウー(台湾移民)
    • デレク・ラム(チャイニーズ・アメリカン)
    • タクーン(タイ移民)
    • 3.1フィリップ・リム(チャイニーズ・アメリカン)
    • アレキサンダー・ワン(チャイニーズ・アメリカン)
    • リチャード・チャイ(チャイニーズ・アメリカン)
    • ピーター・ソム(チャイニーズ・アメリカン)
    • ドゥー・リ(コリアン・アメリカン)
    • ハニイ・Y(韓国出身)

    さらにTHUY(ツイ)、ベンソニ、コイ・スワナゲイトなど新人勢も軒なみアジア系。
    すげー! アジア勢てんこ盛り。

    いっぽう南米系のデザイナーたちだって負けていない。
    そもそもNYファッション界の大御所であるオスカー・デ・ラ・レンタはドミニカ共和国の出身。
    同じくハイソを顧客にするキャロリーナ・ヘレラはベネズエラ出身。

    ナルシソ・ロドリゲスはキューバ移民の二世。
    イザベル・トレドもキューバ出身。
    カルバン・クラインのデザインを手がける、フランシスコ・コスタはブラジル出身。
    マリア・コルネホはチリ出身。
    なんだよー。すごくたくさんいるじゃないか!

    実際にNYのデザイナーで、典型的な「ワスプ白人」というのはむしろ少ないくらいなのだ。
    ファッション界もマイノリティ・パワーがあってこそ成りたつもの。

    なかでもなぜ特にアジア勢が強いかといえば、まずひとつがバックグラウンド。
    アジアンの多くは親や親戚がテイラー、縫製工場、クリーニングといった衣料関係に係わっていて、服を作る工程に親しんでいるということ。

    そしてよくいわれるのが、アジアンの特徴である「実際的」な感性。

    欧州系のデザイナーが服に対してファンタジーをこめるのに対して、アジア系デザイナーたちはリアリスティック。つまり着て、なんぼ。

    「着やすい」「着て映える」「値段につりあっている」「組みあわせやすい」
    といったリアルモードが得意で、ビジネス感覚がすぐれているあたりが、アジア系成功の秘訣になっているよう。

    ジェイソン・ウー 09春夏コレクション ランウェイより
    ジェイソン・ウー 09春夏コレクション ランウェイより


    もちろん忘れちゃいけないのが、日本のデザイナー陣。
    じつはアメリカでは、いまかなり日本の新しいブランドが注目されているのです。

    前述のイクラムさんも日本ブランドのファンのもよう。
    ヨージ・ヤマモトのビッグファンであり、さらにイクラムには日本のサカイやアンダカバー、トーガ、リミ・フゥ、タオ(コム・デ・ギャルソン)なんてブランドを入れている。

    だとしたらミシェル夫人がプライベートで日本ブランドを着ていることもありえるよね。意外と日本ブランドに詳しいのではないかという気がするぞ。

    てことで、オバマ詣でをしたい日本の政治家のみなさん! お土産にサカイやトーガの服をプレゼントしてみるというのはどうだす?
    意外と日米のカルチャーをつなぐ鍵になるかもよ。

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